Tinker Jp
コーイケルホンディエの疾患について
オランダコイケルクラブ(VHNK)では、コーイケルホンディエの遺伝子疾患として以下の疾患を挙げています。
Von Willebrand Disease (VWD):フォン・ヴィレブランド病
遺伝性の出血性疾患で、フォン・ヴィレブランド因子の遺伝子が変異し、量的な生産低下または質的に異常なたんぱく質が作られるために生じる。
□症状:コーイケルホンディエでは、3型が認められ、3型はフォン・ヴィレブランド因子が全くない状態にある。
□頻度:1990年以降、DNA検査が可能になったため、現在オランダコイケルクラブへの報告数はゼロになっており、2005年ごろに根絶されたとされています。
※あくまでも、オランダクラブに疾患の報告されている国のみのデータだと思って下さい。 日本は残念ながらほぼ報告が行われておらず、両親の検査も100%はされておりません。
Hereditary Necrotising Myelopathy (ENM):遺伝性壊死性脊髄症
別名「Kooikerverlamming」(コ―イケル麻痺)と呼ばれる。脊髄白質に影響を及ぼし、麻痺を引き起こす神経疾患。
□症状:生後6~15か月の間に発症する。最初は軽度で、後肢のわずかな協調運動の障害が出現する。進行すると後肢が酔っぱらった様な歩行になる。この頃には前肢の機能障害も現れ、姿勢反射障害も出現する。発症しても痛みはないが、進行性のため2歳になる前に死に至る。
□頻度:数年前からDNA検査が可能になったため、現在オランダコイケルクラブへの報告数は2010年代にゼロになっています。2020年には対立遺伝子頻度0.04にまで減少している。
※あくまでも、オランダクラブに疾患の報告されている国のみのデータだと思って下さい。日本は残念ながらほぼ報告が行われておらず、両親の検査も100%はされておりません。
Patella luxation (PL) 膝蓋骨脱臼
膝蓋骨(膝蓋)が自然に脱臼したり、正常な位置から外れたりする。
□症状:一般的には膝蓋骨が内側に脱臼することが多いが、外側に脱臼することもある。重症型(PLグレード2以上)では、犬は即座に跛行を起こし、しばしば痛みで泣き叫ぶこともある。膝蓋骨が自然に元の位置に戻れば、犬はすぐに歩けるようになる。
□検査した犬の15%が軽症(グレード1まで)。年に1回程度、重症例(グレード2以上)がVHNKに報告されている。
Epilepsy 癲癇(てんかん)
てんかんは、発作性の症状が繰り返しおこる脳の病気。てんかんの種類にもよるが、発作はいくつかの特徴的な行動を繰り返す異常行動として表現される。
てんかんは、原発性てんかんと続発性てんかんの2つに分類されるます。原発性てんかんは遺伝性のものである。
獣医学の世界では、てんかんの定義として、発作がどのような形であれ、繰り返し起こることが必要とされている。
□症状:発作は、さまざまな症状を示す小さな非定型発作から、典型的な全般発作まで様々である。典型的な発作は、一般的に生後6ヵ月から5歳までに起こる(厳密ではない)。
発作は夜間や早朝に起こることが多い。犬は意識を失い、横向きに倒れ、足を伸ばし、頭を背中越しに後方へ動かす。その後、犬は四肢をパタパタと動かす。発作は数秒から数分続く。発作が予測できることもあるが、ほとんどの場合は予測できない。
次の段階は発作後状態(postictal stage)と呼ばれる。この回復には様々な形態があり、数秒から数時間かかりる。非定型発作では、前足やまぶたなどの筋肉の異常な動きにとどまり、犬の意識は一般的にはっきりしている。
□頻度:VHNKはこの疾患に特に注意を払っているため、発症報告数は減少している。近年は年間1~5頭である。
(Poly)myositis (多発性)筋炎
1つまたは複数の筋肉に慢性的な炎症が起こり、筋肉が機能しなくなる自己免疫疾患で、罹患した筋肉の筋力低下が起こる。筋炎は進行性の疾患で、予後は非常に不良である。
2つのグループに分けられます。主に嚥下障害や摂食障害を伴う比較的若い犬のグループ。もう1つのグループは、若年から中年齢の犬で、筋骨格系の問題、あるいは嚥下障害を合併している。
□症状:筋炎の部位や種類にもよるが、最も一般的な症状は以下の通りである。
・持久力の低下
・筋力低下
・嚥下障害
・(筋肉)痛
・発熱
・疲労困憊し、遊ぶ気も歩く気もなくなる。
・足を引きずる/こわばる
・背中を丸めて歩く
・よだれ
・吐き気
・食欲不振/食べたがらない
筋炎は、多くの症状が他の疾患の徴候でもあり、「あいまいな不定愁訴」として始まることが多いため、しばしば見分けがつきにくいことがある。確定診断のためには、筋酵素(CPK/CK)の血液検査、筋電図検査、筋生検が必要。嚥下フィルムや内視鏡検査が必要なこともある。
□頻度:残念ながら、現在では多発性筋炎の頻度が高くなっている。頻度は約1%である。
薬による治療は必ずしも成功するとは限らず、犬は死に至る。現在、コーイケルホンディエにおけるこの病気の(遺伝的な)原因と最良の治療法の研究が行われている。
Hereditary eye diseases
遺伝性の眼病はほんのわずかしかない
●白内障
非先天性の白内障で、目の中の水晶体が濁り、失明に至ることがある。
繁殖が制限されているため、この犬種にこの病気が見られることはほとんどない。
●睫毛乱生症
余分なまつ毛は外科的に除去することができ、予後は良好である。
厳格な繁殖方針により、この犬種に目の病気を持つ犬はほとんどいない。
出典:
・VHNK.”Genetic diseases“.
http://www.kooikerhondje.nl/en/the-breed/genetic-diseases/(引用日2024年12月24日)
・2024年VHNK Symposium